みなさんこんにちは。
このブログでは、現役看護師が、健康について考え、実践したことなどを気ままに綴っています。
みなさん、排便は定期的にありますか?スムーズに出ていますか?人と話すこともなかなかなくて、正常が何かもわからない方もおられると思います。
本日は排便管理と心疾患についてです。
最近の研究では、通常の排便に要する時間は50秒以内が一般的に正常とされています。排便はあまり力まずにスムーズに行われるべきで、自然な形で短時間で排便できるのが理想です。
便が出るまでの時間に関するポイント
• 50秒以内が目安:50秒以上かかる場合や、長時間いきむ必要がある場合は、便秘や他の消化器の問題を示唆している可能性があります。
• 無理にいきまないこと:排便は自然な感覚に従うことが大切です。無理にいきむと、痔や直腸への負担がかかることがあります。
もし、排便に時間がかかることが頻繁にある場合、食物繊維の不足や水分摂取不足、運動不足などの生活習慣が影響していることが考えられます。これらを改善することで、排便の時間やスムーズさが向上することがあります。
排便と心疾患の関係性
便秘が心疾患のリスク要因になる可能性があることは、最近の研究で注目されています。便秘と心疾患の間にはいくつかの間接的な関連が指摘されています。以下に、そのメカニズムや理由について詳しく説明します。
1. 排便時のいきみと血圧上昇
便秘の人は排便時に強くいきむことが多く、この過剰ないきみが心血管系に負担をかけることがあります。
• いきみによる血圧の急上昇
排便時に強くいきむと、腹圧が上がり、その結果、血圧も一時的に急上昇します。特に高齢者や高血圧患者の場合、この急激な血圧上昇が心筋梗塞や脳卒中の引き金になる可能性があります。
• 迷走神経反射
いきみが強いと迷走神経が刺激され、心拍数が一時的に減少する迷走神経反射が起こることがあります。この反射が過度に起こると、血圧が急激に下がり、心臓に負担をかける可能性があります。特に高齢者や心疾患リスクが高い人は、これが原因で心臓のリズムが乱れることがあります。
2. 慢性便秘による炎症と動脈硬化
慢性便秘は体内に慢性的な炎症を引き起こし、これが動脈硬化や心血管疾患の進行を促進する可能性があります。
• 腸内環境の悪化
便秘は腸内の有害物質や老廃物が長時間腸内にとどまることを意味します。これにより、腸内環境が悪化し、腸内細菌のバランスが崩れることで全身的な炎症が進行します。この炎症は、動脈硬化のリスクを高め、心血管疾患の発症に寄与することがあります。
• 炎症性マーカーの上昇
便秘が続くと、体内で炎症性マーカー(例えばCRP:C反応性タンパク)が上昇しやすくなり、これが動脈硬化や心臓病のリスクを高めるとされています。特に高齢者や既存の心血管リスクがある人では、この炎症が心臓への負担を増加させます。
3. 生活習慣との関係
便秘は不健康な生活習慣と関連しており、これが心疾患リスクを間接的に高める可能性があります。
• 食物繊維の不足と肥満
便秘の主な原因の一つは、食物繊維不足や不健康な食事です。これらの生活習慣は便秘だけでなく、肥満、高血圧、糖尿病などの他の心疾患リスク要因とも関連しています。肥満や高血圧は心臓に大きな負担をかけ、心筋梗塞や心不全のリスクを高めます。
• 運動不足
運動不足も便秘と心疾患の両方に関連しています。運動不足は腸の蠕動運動(ぜんどううんどう:腸の動き)を弱め、便秘を悪化させるだけでなく、心血管系の健康を低下させる要因でもあります。適度な運動は、腸の動きを活性化させるだけでなく、心臓や血管の健康維持にも役立ちます。
4. 薬の影響
便秘を引き起こす薬剤の中には、心血管疾患リスクを高めるものもあります。
• 降圧薬や利尿薬
一部の降圧薬や利尿薬は便秘を引き起こすことがあります。これらの薬を服用している心疾患患者が便秘に悩まされると、排便時のいきみが心臓にさらなる負担をかけることがあります。
• 便秘薬の過剰使用
便秘薬の過剰使用や依存も体に悪影響を与えることがあり、長期的には腸の自然な機能を弱め、便秘を慢性化させる可能性があります。慢性便秘は間接的に心臓への負担を増す要因となり得ます。
5. 自律神経の乱れ
便秘が続くと、自律神経のバランスが乱れることがあります。自律神経は心拍や血圧の調整に関わっており、便秘による自律神経の不調が、心血管系に影響を及ぼす可能性があります。
いかがでしたか?
便秘が心疾患のリスクを高める理由は、排便時のいきみによる血圧上昇や、慢性的な便秘が引き起こす炎症、生活習慣の悪化、さらに薬剤の影響など多岐にわたります。便秘を予防するためには、食物繊維を豊富に含む食事、適度な運動、水分摂取を心がけることが大切です。また、便秘に悩まされる場合は、早めに医師に相談し、心疾患のリスクを軽減するための対策を講じることが推奨されます。